お金のことわざ【き~や】

【き~や】

奇貨置くべし
きかおくべし
奇貨居くべし見込みのあるめずらしい貨(品物)は、買いこんで貯えておいて、時期をまって売れぱ大きな利益を得ることができる。秦の商人呂不韋が、趙に人質になっていた秦の王子子楚を助け、のちに子楚は秦王となり、呂不韋は子楚をうまく利用したという故事から。
器用貧乏
きようびんぼう
何事も一通りうまくできる器用な人は、かえって一つの事に徹底することができず、結果、大きな成功はしないものだということ。また、そのような人。
金を攫む者は人を見ず
きんをつかむものはひとをみず
盗人が、盗むときには金しかみえず、人の姿は見えなかったという故事から、一つのことに集中するあまり、他がまったく目に入らない、欲のために周りの状況がよくみえないということのたとえ。
食わず貧楽高枕
くわずひんらくたかまくら
貧乏で、衣食には不自由していても、心は豊かで、おだやかな生活を送っていること。
下戸の建てた蔵はない
げこのたてたくらはない
酒に財産を浪費しない下戸が、酒代を節約したからといって、財産家になって蔵を建てたという例は聞かないという自己弁護の意。
恒産なき者は恒心なし
こうさんなきものはこうしんなし
定まった財産や職業を持たない人は、生活が安定しないので、常にしっかりした正しい心をもち続けることができない。物質面での落ち着きがなければ、精神面で不安定になるものである。
先立つ物は金
さきだつものはかね
人生は何事をするにもまずお金が必要であるということ。お金がなければ何もできない。
地獄の沙汰も金次第
じごくのさたもかねしだい
地獄での裁判も金の力で有利になるという意。金の力は万能で、この世はすべて金の力でどうにでもなるというたとえ。
児孫の為に美田を買わず
じそんのためにびでんをかわず
児孫のために美田を買わず西郷隆盛の詩の中の言葉。子孫のために財産を残さない、財産をのこすと,かえって、財産に頼ってしまい、自立心が失われ、身を誤ることがおおいからである。
死金を使う
しにがねをつかう
役にたたない無益のことに金を使うことをいう。むだづかい。
詩を作るより田を作れ
しをつくるよりたをつくれ
文学など実生活に役に立たないことをする時間があったら、少しでも実益のある仕事をしたほうがいいという戒めの言葉。
せかせか貧乏ゆっくり長者
せかせかびんぼうゆっくりちょうじゃ
せわしく汗水たらして働いているにもかかわらず、貧しい生活をしていたり、また、遊んで過ごしている人が案外豊かな生活をしていたりもする。むやみに働くばかりが能ではないし、世の中は不公平だということをいった言葉。
赤貧洗うが如し
せきひんあらうがごとし
ひどく貧しく、持ち物を洗い流したようになにもないさま。
銭は足無くして走る
ぜにはあしなくしてはしる
金(銭)のことを「おあし」というように、金には足などないのに、まるで足が生えて走っているように無くなるのが早い。
千金の子は市に死せず
せんきんのこはいちにしせず
金持ちの子は、たとえ危険な目に遭ったとしても、金の力によって逃れることができる。
倉廩実ちて礼節を知る
そうりんみちてれいせつをしる
倉廩は倉庫とか財産の置場。人は財産ができて生活が豊かになって始めて、礼儀や節度を重んずるゆとりができるようになるというたとえ。
素封家
そほうか
大金持ち。財産家のこと。素は「無し」、封は「封土」の意味であるから、領地はもってないが、資産を持つ家ということになる。
損して得取れ
そんしてとくとれ
目先のことは考えず、初めは損をしても、それをもとに大きな利益を得ることを考えるようにするべきだ。損せぬ人に儲なし。
足るを知る者は富む
たるをしるものはとむ
自分に自信のある人は、自分を飾る必要がないので、お金の無駄遣いをしない。身分相応のところで満足している者は、精神的には富貴者と同じであるの意。
中流に舟を失えば一壺千金
ちゅうりゅうにふねをうしなえばいっこせんきん
川の真ん中で難船した者にとっては、たとえ壺(つぼ)のようなものでも、浮き袋の代用として一命を助かることもあるので、千金のねうちになるほど貴重なものになる。つまらないものでも、時と場合によっては、非常に役に立つことがあるというたとえ。
沈黙は金雄弁は銀
ちんもくはきんゆうべんはぎん
口は禍の門で、沈黙を守るほうがすぐれた話し方よりも、まさっているというたとえ。西洋のことわざ。
時は金なり
ときはかねなり
時間は貴重なものであるから、むだに過ごしてはならない。
無い袖は振られぬ
ないそではふられぬ
(おもに金銭などに)実際にないものは、出しようがない。
何某より金貸し
なにがしよりかねかし
名誉や名声のある家柄より、成り金と非難されようと金持ちのほうがよいという意味。
二束三文
にそくさんもん
一束は数十、数百と束ねたものを数える単位。それが二束で三文ということだから、数量が多くて、値段がひどく安いこと。
盗人に追銭
ぬすびとにおいせん
盗人に物を盗まれたうえに、さらに金銭を与えること。損の上に損を重ねる二重三重の損害。泥棒に追い銭。
濡れ手で粟
ぬれてであわ
濡れた手で粟をつかめば、粟粒が簡単にとれるので、労せずして多くの利益を得ることのたとえ。また、やすやすと金儲けをすること。
早起きは三文の徳
はやおきはさんもんのとく
「三文」はわずかなお金。朝早く起ると健康にもよく、また、それだけ多くの仕事をすることができるので、僅かながら利益になることがあるということ。
貧すれば鈍する
ひんすればどんする
貧乏をすると、生活の苦しさから、精神のはたらきまで愚鈍(ぐどん)になり、普段利口な人も愚かになる。→人貧しげれぱ智短し。窮すれば濫す。
貧乏暇なし
びんぼうひまなし
貧乏で日々の生活追われているので、少しの遊ぶ暇もない。
升で量って箕でこぼす
ますではかってみでこぼす
桝で量って箕でこぼす    枡で少しずつ量るようにして苦労してためた物や財産を、箕のような大きなもので一度に無駄に使ってしまうこと。わずかな収入にくらべて、支出が大きいということのたとえ。
身銭を切る
みぜにをきる
もとは人が支払う、自分が負担する必要のない費用を、自分の金で払う。自腹を切る。
安物買いの銭失い
やすものがいのぜにうしない
値段だけで物を買うと、品質が悪く、すぐに買い替えなければならなかったりするので、お金がまた必要になり、かえって損になるということ。→安かろう悪かろう。